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QuizKnockふくらPに聞く 「謎解き力」とは?

2019年5月11日

「謎解き力」とはなんでしょうか。謎検では「たくさんの“解”の可能性を思いつける力」と考えてますが、それは1つの側面でしかありません。これまでの謎検で好成績を叩き出し、仕事や学業の面でも活躍されているトップランナーの方々に、謎解き力の本質、その応用の仕方を伺いました。

第1弾は、第4回謎検で1級 全国9位の成績を収めた「ふくらP」。登録者数68万人(2019.5月時点)を超える人気YouTubeチャンネル「QuizKnock」のプロデューサー/ライターとして、良質なクイズやパズル、謎を作り続けるふくらPが考える「謎解き力」とは?

QuizKnock ふくらP

■キッカケはクイズ番組とパズル本

ーー ふくらPは、普段は解答者ではなく、謎やクイズなどの「問題をつくる」側にいらっしゃいますよね。そういう活動はいつ頃から始められたのでしょうか?

小学生からです。もともと謎解きをつくるのが好きで、自作の問題を学校の友だちや家族に出していました。本格的なクイズをつくりはじめたのは大学1年生のとき。クイズ研究会に入ってからですね。学年が上がるに連れてクイズ大会のスタッフとしてクイズをつくることが増え、いつの間にかクイズ番組をやったり、QuizKnockでクイズを出すようになったり……。気づいたら「プロのパズル作家」と言ってもいいような、今のポジションになっていました。

ーー クイズや謎解きにハマったキッカケはなんだったのでしょうか?

いろいろあるのですが、ベタなところでは『脳内エステ IQサプリ』とか『サルヂエ』とか『クイズ!ヘキサゴンII』といったテレビ番組ですね。

あとは芦ヶ原伸之さんのパズル本が家にあったのですが、その本にもすごく影響を受けました。芦ヶ原さんの本にはパズルもたくさん載ってるんですが、それ以上に「パズルを解くとはどういうことか」とか「パズルをつくるとはどういうことか」とかについて書かれたコラムが面白くて。だから問題をつくる側になった最初のキッカケとしては、芦ヶ原伸之さんの本になるんでしょうね。


■謎解きが得意な人は「問題解決能力」が高い

ーー 謎検で1級を獲得していますが、謎解きに必要なのは具体的にどういう力だと思いますか?

まずは「パターンを知っているかどうか」。僕はこれまでの人生の中で、クイズや謎解きに関しては本当に相当な量をこなしてきました。少なくともQuizKnockのメンバーの中では、僕が一番多いはずです。その分だけ「知っているパターン」も多い。だからそういうパターン化できる問題に関しては、単純にどれだけ量をこなしてきたか、が大きいと思います。

あと、問題解決能力が高い人は、謎解きも得意なのではないでしょうか。

ーー 「問題解決能力が高い人」とは、どういう人でしょうか?

「視野の広さ」を持っている人です。謎を見たとき、固定観念に縛られず瞬時に何通りかの解決パターンを考えることができる能力の持ち主というか。そして、仮にそれらが全て間違っていた場合にも、また別のパターンを考えながら道筋を立てていけるような人ですね。

あわせて「取捨選択する能力」を持っている人であることです。視野の広さでいくつかパターンを思いついたなら、それをどういう順番で検証をしていくのか、という選択を謎解きでは繰り返さないといけませんから。

早押しクイズも似ているところがありますね。早押しクイズで強くなる方法というと、たくさん勉強したり、いろいろな単語を頭にインプットしたりと、とにかく知識を強化すればいいというイメージだと思います。それらはもちろん重要なのですが、全て大会の前日までにおこなう対策の話でしかないんですよ。

実際の大会で問題を読まれた瞬間、選手は頭の中で何をしているかというと、とにかく高速での取捨選択なんです。自分が持っている知識の中から、瞬時に何通りかの可能性を考え、いち早く正解にたどり着くための。だから早押しクイズというのは、「問題解決能力を競うブレインスポーツ」だと僕は思っています。

ーー 「ポンっ!」と正解がひらめいているように見えますが、実際は脳内でいくつか浮かんだパターンの中から、超高速で取捨選択を繰り返しているわけですね。

その通りです。常に「最高のパフォーマンスを発揮するにはどうすればいいか」を考えながらやっているので、ルールや周りの点数状況次第で、早押しのボタンを押すタイミングも変えているんです。そしてそれらは、知識だけでなく、ひらめきやロジックによって都度変わるものでもあります。そういう意味でも、謎解きと早押しクイズは感覚として近いなと思っています。


■謎解きは学びの力を鍛えるための適切なツール

ーー 謎解き力を訓練したり、鍛えるための何かいい練習方法はありますか?

やっぱり問題をたくさんやることではないでしょうか。パターンを吸収して次からそのパターンを使えるようになりますし。

解けなかった場合は、「次に同じような問題が出たら、どういうふうにすれば解けるのか」「どうやったらこの問題の答えを思い浮かぶことができたんだろうか」などについて、しっかりと考えることが大事になります。可能であれば、その問題を解けた人に「どうやってこの問題を解いたんですか?」と聞いてみてください。考え方を外から学べるので、学習効果がより高くなると思います。こういった反復学習を続けていくことで、単に問題が解けるようになるだけでなく、謎解き力、問題解決能力なども上がっていくはずです。

ーー なるほど。単に問題をやって答えを確認して終わりとするのではなく、ひとつの問題の中から他の問題に応用できそうな汎用的な部分を見つけ、学習を繰り返していくことが大事なのですね。

そのためにも、日頃からいろいろなパターンの謎を解くようにしてほしいですね。それこそクイズをやったり、クロスワードパズルをやったり。将棋とかでもいいと思うんです。「将棋のここの考え方って、迷路を解くときの考え方と一緒だな」とか。そういうことに気づけるようになると、生活のあらゆる場面から多角的に学習できようになると思います。例えば「お!皿洗いのこれも実は同じなんじゃね!?」みたいな発想ができたりね。

謎解きに限らず人生において大切なのは、「学んだことを抽象化する」こと。そして、それを具体化させ、「抽象化と具体化を常に自由に行き来できるようになる」こと。それができるようになれば、いろいろなものに対する吸収力が高くなると思います。

ーー 謎解きは「人生における学びの力を鍛えるための適切なツール」とも言えそうですね。

そうですね。「このパターンはこう、こっちのパターンはこれ」というだけではなく、いくつか具体例が集まった段階でそれを抽象化し、強い法則というか強い定義にしていくこともできると思うんです。それは、謎解き力の向上ということでもありますし、それを積み重ねていくことで、いろいろな仕事にも活かせるようになるはずです。

先ほど「謎解きが得意な人は、問題解決能力が高い人」と言いましたが、出された問題が「クエスチョン」なのか「プロブレム」なのかの違いがあるだけで、基本的には両者を解くのは同じ力なのだと思っています。謎解き力が高い人というのは、実際の問題に対しても、例えば改善だったり、効率化だったり、自分なりのアプローチで自然とその力を使えている人なのではないでしょうか。


聞き手:石塚 健朗(SCRAP)

学生時代よりベンチャーキャピタルでスタートアップや大手企業の新規事業創出支援。新卒で面白法人カヤックに入社し、新規事業開発やクライアントワークのディレクターを担当。SCRAPでは、謎検含め新規事業開発のプロデューサーとして従事。@Takeroishi

執筆・構成:砂流 恵介

1983年、広島県生まれ。秋葉原でPCショップ販売員の経験を得て、日本エイサーへ入社。宣伝・広報を担当する。2013年12月退社。 手段を選ばないゲリラ的なPRを得意とする。現在は、BtoC企業を中心にPR業務やコンサルタント、WEBメディアでライター、ゲーム実況配信など、多方面で活動している。@nagare0313